【パート1】
来たる2000年4月9日は、4年に一度の総選挙。投票率が異常に悪い日本と違い、ギリシャで選挙と言ったら、国民一大行事。何と驚くべき事に、投票率はほぼ100%。ギリシャ人にとって、政治はとても重要な事で、どの政党が政権を取るかは、誰もが一番関心を持っている事です。人によっては、自分の仕事を続けられるか、やめるか・・・にまでかかわってくる事。−と言うのも、ギリシャ人に人気のある国家公務員の仕事についている人達の多くが、その時政権を握っている政党の政治家のコネでその仕事を得ている為、万が一、他の政党が政権を取ると、解雇される恐れがあるからなのです。ギリシャでは、未だに、数多くの会社が国営の為、国家公務員の数も半端ではありません。(オリンピック航空、電気会社、電話会社、地下鉄、電車、バス、トロリーなど、全てが国営です。)もちろん、全ての人達が解雇されるわけではありませんが、かなりの人員整理が行なわれるのは確か。(ただ、その理由は公にはされません。普通は、何か他の理由が説明されるらしいけれど、ギリシャ人なら皆んな知っている事。)現に、私の周りでも、過去にそういう経験をした人が沢山います。その時は、オリンピック航空だけでも、一挙に2000人解雇されたそうです。(でも、その人達は4年後、また元の党に政権が戻った時に、仕事にカムバックしています。)
ギリシャでは、投票権のある人全て、‘投票手帳’を持っていて、何か選挙があり投票に行く度、その手帳にスタンプを押してもらいます。将来、自営業を営みたい人など、このスタンプがないとビジネスを始めるライセンスがおりなかったりする事も。(この国では、何のビジネスを始めるにも、政府からの許可が必要です。)ギリシャ人は、数多くの人が海外に移民していますが、選挙の時になると、各政党から無料の飛行機チケットが支給されるので(もちろん、全員にではないと思うけれど。)その時期には、海外からも多くのギリシャ人が里帰りしたりもします。
現在、政権を握っているのは、現総理大臣、コスタス・シミィティ氏率いるパショック(革新政党ギリシャ社会運動)。そして、その最大のライバルにあたるのが、コスタス・カラマンリス氏率いるネア・デモクラティア(新民主党)です。他にも、小さな政党は数多くありますが、ほとんどの国民は、この2つのどちらかを支持しています。
選挙まで後数日となり、連日、テレビのCMでも、番組でも、ニュースでも、どちらかの政党のキャンペーンを見ない日はなし。特に、今日(3月30日)の夜に放映されたプログラムは究極でした。ギリシャの主な国営と民営のチャンネルで一貫放送が行なわれたのですが、内容は‘シミィティ氏とカラマンリス氏の演説バトル(?)’。各チャンネルの人気アナが、両氏に数々の質問をし、2人がそれに対して答えるというもの。各質問に対する答えは、与えられた2分間の中で答えなければいけないので、まるでクイズ番組を見ているかのようでした。こんな番組って、他の国ではあるのでしょうか?
彼らは、ここ何日もギリシャ全土を回ってキャンペーンをやっていますが、その様子がまたすごいのです!演説などしている時には、それこそ何千、何万の人々が集まり、それぞれの政党の旗を振るわ、爆竹(?)をならすは、ラッパを吹くわ・・・の大騒ぎ。まるで、サッカーの試合のノリ、あるいは新興宗教と言った感じ。その中には、まだ選挙権を持ったばっかりの若者も沢山いるんですから・・・。日本の政治家達も、これを見たらギリシャの政治家達にやきもちをやくのでしょうか?まさに、ギリシャでは、政治家はスターのように扱われているように見えますよ。
今の段階では、この両党、5分5分と言われています。結果が出たら、‘ギリシャの選挙−パート2’でお知らせしますので、お楽しみに。
【パート2】
選挙の数日前から、ギリシャ国内では、国民の大移動が行なわれました。誰もが、自分の住民票のある土地で投票をしなければならないからです。これは日本でも同じだとは思いますが、どうやらギリシャでは、引越しをしても、住民票を移したりする人はあまりいないらしく、(ギリシャの住民票に関して、私自身あまり詳しくは知らないのですが。)大抵の人は、自分の生まれ故郷に里帰り。ギリシャの人口の約半分近くがアテネに集中している事を考えると、アテネの住民のほとんどが地方出身で、生粋のアテネッ子というのはごくわずか。それを考えただけでも、どれだけの数の人が、この期間、アテネから自分の町や村へ移動していったかがわかるでしょう?高速道路は渋滞、その他の交通手段も全て超満員。パート1にも書きましたが、これらの乗り物のチケットの多くは、自分の支持する政党から支給されたものです。選挙を口実に、ただで里帰りでき、家族と共に楽しい時間を過ごせるのだから、一石二鳥ですね。
テレビのニュースなどで、里帰りをしている人達の様子を見ていると、中には、夫婦で違う政党を支持しており、車に緑(パショック)と青(ネア・デモクラティア)の旗をそれぞれなびかせて、口喧嘩をしながらドライヴをしている人達などもいて、笑えました。(本人達はそうじゃなかったかもしれないけれど。)だいたい、それぞれの家族は、一つの政党を支持しているようですが、結婚した時、たまたまお互いの支持する政党が違う事はありえます。その様なカップルが私の身近にもいますが、2人を見ているとなかなかおもしろいのです。ご主人が、‘何だよ!カラマンリスなんて、おかまじゃないか。そもそも、あいつのおじさんも有名おかまだったんた。’と言えば、奥さんは、‘全く、シミィティのあの油ぎった顔、どうにかならないかしら。見るだけでムカムカしてくるわ!’と言いたい放題。でも、実際のところ、そうやってお互いの政党をけなしあって、楽しんでいる感じ。現に、どちらの政党が勝っても、案外皆んなケロっとしていましたから。(少なくとも表むきは・・・。)現在、ギリシャの政治には、E.Uが大きく関係しているので、どちらの政党が力を持とうと、以前ほどの変化はないからかもしれません。
さて、4月9日の総選挙当日は、朝から、テレビでもその事しか放送していない状態。朝7:00から始まった投票は、夜7:00に締め切られ、いつもの選挙なら、夜の9:00までには、だいたいの結果がでているところ。ところが、今回は、夜の9:00になっても、全く結果の予測がつかぬほどの激戦。ある時は、ネア・デモクラティアが0.5%の差でパショックの上をいき、ある時は、パショックが0.8%の差でネア・デモクラティアを追い抜かす・・・といった具合だったのです。結局、国民のほとんどがテレビにかじりつき(多分そうでしょう。)、はらはらしながら最終結果を知らされたのが、夜中の1:00をまわった頃。わずか、0.9%の差で、今回もパショックが勝利をおさめました。パショック派はもちろん大喜び。けれども、ネア・デモクラティア派にしてみても、これだけ票を集めたという事で、割に満足そうです。次回の総選挙は今から4年後。2004年には、アテネ・オリンピックもあることだし、又しても‘熱い年’になる事でしょう。
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